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研究開発課題

「量子ソフトウェアの共創プラットフォームが拓く持続可能な未来社会の実現」のために、私たちは7つの研究開発課題を定めました。これらの研究開発課題は、量子ソフトウェアを活用して社会課題を解決へ導く大きな一歩になります。

研究開発課題1

量子コンピューティング技術の普及と
ユースケース探索

研究開発課題2

機械学習、数理データ科学、金融分野の
アプリケーション研究開発

研究開発課題3

材料や化学、物性分野の科学技術フロンティアの
アプリケーション研究開発

研究開発課題4

NISQ基盤技術実装、シミュレーション技術、
誤り耐性量子計算アーキテクチャ

研究開発課題5

量子コンピュータと古典コンピュータを
統合的に制御するクラウド環境構築

研究開発課題6

量子ソフトウェアによって
使い方が定義できるプラットフォーム実現のための
汎用量子ミドルウェアを開発

研究開発課題7

プラットフォーム型量子
コンピュータテストベッドの開発

研究開発課題1

量子コンピューティング技術の普及と
ユースケース探索

量子コンピューティング技術に関するコミュニティの形成や人材育成を行います。大学・企業両方において量子コンピュータを扱える人材を増やすことで、分野そのものを普及させることが狙いです。具体的には、量子コンピュータ人材の育成のために、勉強会おける講義やグループワークでの実践などを通して、基礎的な学習から研究までを体験していただきます。学生が産学共創の場で企業ニーズを捉えた研究開発を経験できる環境を整備します。
量子コンピュータ人材が増加することは、ユースケースの探索のためにも欠かせません。

研究開発代表者

野口 裕信

(大阪大学 量子情報・量子生命研究センター 特任准教授)

量子コンピュータの研究・教育においては世界トップレベル

量子ソフトウェア研究拠点の代表機関である大阪大学では、25年以上前から量子情報技術の分野で研究・教育を行ってきました。学部や大学院の授業も充実しており、この歴史は世界的にみてもトップレベルです。

研究開発課題2

機械学習、数理データ科学、金融分野の
アプリケーション研究開発

機械学習(AI)やモンテカルロシミュレーション、数理データ科学、更に金融分野の量子コンピューティングライブラリを構築し、従来のコンピュータと比べて、より高速な計算を、より手軽に実現可能にします。さらに、新規性のある量子アルゴリズムの開発し、シミュレータ・実機双方を用いてPoCを進めます。

研究開発代表者

御手洗 光祐

(大阪大学大学院 基礎工学研究科 助教)

NISQマシンのための量子機械学習アルゴリズムをいち早く発表

NISQマシンのための量子機械学習アルゴリズム「QCL」を世界に先駆けて提案し、2年間でおよそ200件もの文献に引用されました。さらにTensorFlow Quantum(Google)やPenneyLane(Xanadu)に標準メソッドとして搭載されています。

研究開発課題3

材料や化学、物性分野の科学技術フロンティアの
アプリケーション研究開発

量子コンピュータを利用した分子シミュレーションによって、窒素固定や光合成などに潜む、これまでわからなかった化学反応の解析が期待されています。このシミュレーションの実行に必要なライブラリを構築しながら、関連するアルゴリズムの研究・開発に取り組みます。具体的には、限られた数の量子ビットで大きな問題を解くための問題分割法、複雑な系を取り扱うためのマルチスケール・マルチフィジックスの導入、誤り耐性量子コンピュータを見据えたアルゴリズム構築と開発支援ツールの整備などを研究開発のテーマに掲げています。

研究開発代表者

水上 渉

(大阪大学 量子情報・量子生命研究センター 准教授)

化学・物性分野に適用するアルゴリズムの開発で世界に先行

大阪大学とQunaSysの共同研究チームは、量子コンピュータを使ったマテリアルの性質を解析・予測するアルゴリズムの開発で世界をリードしています。

研究開発課題4

NISQ基盤技術実装、シミュレーション技術、
誤り耐性量子計算アーキテクチャ

NISQマシンや誤り耐性量子コンピュータの性能を引き出し、なおかつより簡単に誰でも使えるようなソフトウェア基盤ツールを構築します。研究開発テーマとして、量子回路合成や最適化手法、ノイズ補償技術などの開発、スパコンと量子コンピュータが協調する量子・古典ハイブリッドアルゴリズムの構築と実証、誤り耐性量子コンピュータのためのソフトウェアツール(復号化、量子回路合成)の確立を掲げています。

研究開発代表者

藤井 啓祐

(大阪大学 量子情報・量子生命研究センター 副センター⻑)

世界最速の量子計算シミュレータを保持

オープンソース量子コンピュータシミュレータのQulacsは世界最速。Google社のcirq、ZAPATA社の tequila 、Xanadu社の pennylane、CQC社のtketなどの高速シミュレータバックエンドとして利用できます。

研究開発課題5

量子コンピュータと古典コンピュータを
統合的に制御するクラウド環境構築

量子コンピュータにクラウドサービスを介して接続できる環境を作っています。大阪大学の量子コンピュータや外部量子コンピュータ、スーパーコンピュータ、ローカルPC上のシミュレータなどを透過的に制御可能なクラウド環境です。さまざまなコンピュータからのアクセスを可能にすることで、量子ソフトウェアの効率的な研究・開発に役立ちます。

研究開発代表者

猿渡 俊介

(大阪大学大学院 情報科学研究科 准教授)

古典コンピュータと量子コンピュータの専門家の相互理解の深さ

古典情報系人材と量子ハードウェア、量子ソフトウェア開発者でチームSDLabを結成し、10年以上の活動と30回以上のワークショップを行ってき実績があり、協力し合う体制が既に整っています。

研究開発課題6

量子ソフトウェアによって
使い方が定義できるプラットフォーム実現のための
汎用量子ミドルウェアを開発

量子ハードウェアと量子ソフトウェア、両方をつなげて使い方の幅を広げられる量子ミドルウェアをつくっています。量子ハードウェアで使われている、量子ビットを制御するための装置は、量子ソフトウェアと直接的に接続することはできません。そのため、量子ソフトウェアと量子ハードウェアの間に量子ビットにマイクロ波を当てて量子状態を制御する量子ミドルウェアを製作します。

研究開発代表者

三好 健文

(大阪大学 量子情報・量子生命研究センター 招へい准教授)

汎用の量子ミドルウェア

超伝導、イオン、半導体、光、分子などを制御可能な汎用量子ミドルウェアを目指しています。超伝導専用や超伝導と半導体の兼用などの量子ミドルウェアはいくつか実現されていますが、汎用性のあるものは未だ開発されていません。

研究開発課題7

プラットフォーム型量子
コンピュータテストベッドの開発

他の研究開発プロジェクトと協力して、超伝導量子コンピュータやイオントラップ量子コンピュータなど、あらゆるタイプの量子コンピュータと接続可能なテストベッド環境を構築し、量子ソフトウェアの開発者に開発環境を提供します。

研究開発代表者

根来 誠

(大阪大学 量子情報・量子生命研究センター 副センター長)

独自の研究開発の推進と、量子ハードウェア領域へのサポート

占有可能な国内拠点・国産マシンを所有しているため、独自の研究開発を進められます。量子ハードウェア自体は量子ソフトウェア拠点のミッションではありませんが、自由度の高い量子コンピュータ開発環境のために、側面からサポートをしていきます。